大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ラ)330号 決定

権利の濫用は、形式的には権利行使の要件を備えながら具体的場合について見るとその権利を行使することがその権利を認めた本来の目的を逸脱し社会性に反すると認められるためその行使を是認することができない行為をいうものと解すべきであるから、権利濫用の要件として「他人に損害を加えること」を必要としないことは抗告人らのいうとおりである。従つて本件仮処分申請の相手方である城南信用金庫(以下単に相手方という)が抗告人らに損害を加えることを目的として本件建築の設計をしたものであることが認められないからといつてただそれだけから相手方の本件建物の築造が権利濫用とならないと断定することのできないこともいうまでもない。もし相手方において格別その必要もないのに本件建築を企て、その建築の結果隣地の抗告人らに現在の社会観念上受忍しえないような損害を与えるものであるにおいては、相手方がそのような建築をすることは右に説示する権利の濫用となり、許すべきでないといわなければならない。

(川喜多 小沢 位野木)

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